8 その名は、ゴジュラスグラディエーター!!!


 『これで終わり!!消えなさい、新型ゾイドォ!!』
 アンジーがトリガーを引き絞ろうとした、その時だ!!
 強烈な“砲弾の様なモノ”が、アンジーのハンターに炸裂した!!
 頬のプロテクターを破壊され、吹き飛ばされるハンター。
 『アンジー?!』
 すかさず、バレッタがの機体が、アンジーの機体を受け止める。
 爪を床に食い込ませ、嫌な音が格納庫内に響き渡った。
 タイガーリリーが、おそるおそる目を開けた。
 驚きに見開かれた目が、みるみる感涙に溢れてゆく。
 「リュウガ!!!」 
 そこの立っていたのは、銀色に輝く両腕を持った青年、リュウガだった。
 右手が紅く燃えていた!!
 そう、リュウガは、素手でハンターをぶちのめしたのだ!!
 タイガーリリーはリュウガの胸に飛び込んだ。
 「へっ、五月蠅くておちおち昼寝も出来ねえや…」
 「バカ、ネボスケ、考え無し!!」
 タイガーリリーが、リュウガの厚い胸板をたたく。
 当のリュウガは、どうリアクションしてイイか分からずオロオロしている。
 ギギギィと、2体のハンターが立ち上がった。
 ハンター達は、まだやる気のようだ。
 「タイガーリリー、泣くのは後だ。今は、あいつらをぶっ飛ばす!!」
 リュウガは後ろを振り返る。G2がゆっくりと、頭をこちらに向けていた。
 頭部のキャノピーが開き、コックピットをさらけ出す。
 「ようやく会えたな、相棒!」
 リュウガの言葉に、タイガーリリーが気づく。
 「どうして、G2があなたの相棒だと思うの?」
 リュウガがフッと笑う。
 「聞こえたのさ、こいつの声が!!」
 コックピットにリュウガとタイガーリリーが乗り込む。
 キャノピーを閉じると、一瞬暗くなったが手元の計器類が輝き出す。
 ご機嫌な機動音を、コックピット内に響かせてゆく。
 G2が上体を起こして、視界がドンドン高くなっていった。
 G2が雄叫びを上げた!!
 “グゥオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!”
 大地が震撼する!!大気が悲鳴を上げる!!
 G2は、ついにその力を解放するときが来た!!
 鼓動が高まっていった。
 ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン…!!
 「そうだ、この音だ…この音が俺の耳について離れなかった!」
 リュウガの腕が操縦桿に触れた。手になじむ心地よさがあった。
 そう、ここはリュウガの席だ。リュウガのために用意された指定席なのだ。
 リュウガは深く息を吸い、ゆっくりとはき出す。
 決意を込めた、眼孔が閃く!
 それはリュウガの目。そしてG2の目だ。二つの心は今ひとつになろうとしていた!
 
 「これが、これが共和国の…新型!?」
 アンジーがその大きさに目を見張る。
 (こんな、化け物を相手にしようとしていたのか…)
 「アンジー、大丈夫?」
 バレッタが心配そうに声をかける。
 「まだよ!クリスティンの分も戦わなくちゃ!!」
 「ええ、まだいけるわ!!」
 ハンター2機がG2に向かって突撃を開始した。
 左右から、レーザークローがG2に放たれる。
 コックピット狙い。装甲も一番薄く、ゾイドの急所の一つだ。
 どんなゾイドも、パイロット無しではその力も半減だ。
  だがリュウガは、そんなハンターの動きに動じもせず、微かにスロットルを動かした。
 「もらったあ!!」
 アンジーが吼える!
 たとえ回避しようと、バレッタが確実に致命傷を与えるはずだ。
 大型ゾイドは鈍重だ。この体勢からの回避は、困難だろう。
 それがゾイドの常識だった。
 アンジーのハンターの攻撃が、G2のコックピットに届こうとした刹那、信じられない
ことが起きた。
 G2が軽くバックステップしてハンターをやり過ごし、そのまま急旋回。
 ムチのように長い尻尾が、アンジーのハンターを打ち据えた。
 G2が再び前を向き直ると、飛びついてくるバレッタのハンターに
キラーバイトファングをお見舞いした。
 ベキベキベキと、生体装甲を噛み砕く耳障りな音が、格納庫内に響く!!
 “キュァァァァァァ!!!”
 ハンターが叫び声を上げた。
 サイズの小さいハンターなど、大型ゾイドの攻撃の前には無力でしかなかった。
 バレッタのハンターは、ガクリと力が抜けると、そのまま機能停止してしまった。
 (こいつ、手加減している?!)
 バレッタは直感でそう感じた。
 本気なら、ハンターごとき訳もなくひねりつぶしていただろう。
 一瞬…ほんの一瞬で決着が付いた。
 
 「なんてヤツ…、これが新型の力なのか…」
 アンジーは薄れゆく意識の中で、G2の姿を見た。
 光り輝く巨体は、神像のように神々しかった。
 「そこまでだ、帝国軍!
  勝負はついた、俺は無駄な殺生はしない!」
 青年の声が、ゴジュラスより放たれた。
 「今のは、パイロット?」
 「共和国に、こんな凄腕の兵士がいたなんて…」
 機体から這い出したバレッタが悔しそうに呟いた。
 「生憎と、俺は兵士なんかじゃない。
  共和国と帝国の戦争なんかクソ喰らえだ!!」 
 リュウガの声に、アンジーとバレッタが驚く。
 「兵士ではない、ではお前は何者だ!?
  何のために戦っている?」
 「俺は傭兵だ。
  戦争で生きている、人でなしかも知れない。
  だからこそ、俺はこんな戦いを終わらせたいんだ!
  そのために俺は戦っている!」
 「馬鹿げている…」
 そんな事のために、この男は命を懸けているのか?
 アンジーもバレッタもにわかには信じられなかった。
 「俺は、自分の誇りのために戦っている。
  このゾイドも誇りのため戦う。
  俺たちは、今こそこの惑星の“グラディエーター”(剣闘士)になった!」
 「グラディエーター?」
 「そうだ、俺の名はリュウガ!
      俺の相棒の名は“ゴジュラス・グラディエーター”だ!!」
 凛とした声が、G2から放たれた。
 いま、新たなゾイドがその運命に立ち向かうべく、産声をあげたのだ!!
 アンジーとバレッタは、両手をあげた。
 「ええ、あなたになら、負けを認めても良い…」
 「…バカだけど、クリスティンと同じヤツを見たような気がするよ」
 アンジーとバレッタの2人は、投降の意思を示した。
 その様子を満足そうに、タイガーリリーが見つめていた。
 「…良かった」
 ただ一言、タイガーリリーは、そう呟くのがやっとだった。


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